ALCパネルのメンテナンスについて

ALCパネルというのは、軽量で気泡が入った特殊なコンクリートの一種で、建材として高層ビルから一般の住宅まで使用されています。ALCは内部に気泡がありますから、壁の中に空気の層ができ、断熱性も高く遮音性にも優れているという特徴があります。無機質材料を原料にしていますから、不燃材料として認定されていますし、高層建築物の間仕切り壁や防火区画などでも用いられています。標準的に鉄筋コンクリート構造の建物の場合、構造物全体が一体化した構造となっていますが、ALCパネルを用いた鉄骨造では鉄骨とALCパネルは金属のジョイントを用いて接合していきます。そのため地震が起こった場合、主要構造部の鉄骨とALCパネル本体では別々の挙動をします。

 

ALCパネルは数ある外壁材の中でも注目を集めています。ALCパネルは高温高圧蒸気養生・軽量気泡・コンクリートの頭文字で、工場でパネルに加工したものを建材として使用していきます。現場では工場で生産されたパネルを取り付けていきますから、塗り壁などに比べると施工にかかる時間を短縮できるというメリットがあります。また内部に気泡があるコンクリートですから、軽量で住宅への負担も少なく施工の負担も少ないというメリットもあります。また材料がコンクリートなので耐火性が高く遮音性も高いので防音壁として使用されることもあります。ただALCパネルは多孔構造のため防水性がないため、防水性を高めるためには表面に仕上げ剤を塗布する必要があります。また吸水性も高いため寒冷地などでも吸水した水が凍ってしまい、剥離してしまうおそれがありますから表面の防水処理をしっかり行うことが大切です。

 

ALCパネルの最大のメリットは耐久性に優れているということがあげられます。よくしっかりとメンテナンスを行えば50年は建て替える必要はないと言われていますが、水には非常に弱いという特性がありますからいかに塗装で耐候性に強い塗料を使用するかが重要となってきます。耐候性が弱いため劣化する前に定期的にメンテナンスを行うことも大切です。ALCパネルとパネルのつなぎ目には、シーリングがありますが、ここが劣化すると雨水が浸入する原因になってしまうため、シーリングの補修が必要になります。

 

ALCパネルは吸水性が高く耐候性も弱いため、最低でも10年に1度のタイミングでメンテナンスを行う必要があります。特に塗装のはがれや浮きが現れたら外壁の防水性が低下した原因となりますからすぐにメンテナンスを行う必要があります。ALCパネルを外壁に使用する場合には、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本となります。下塗りにはシーラーや微弾性フィラーという下塗専用の塗料を塗ってから中塗り・上塗りを行います。塗料にもいろいろな種類がありますが、耐候性が強く雨や風に強いフッ素塗料がおすすめです。フッ素塗料は耐候性だけではなく耐用年数も長く光沢が長持ちするという特徴があります。ただフッ素塗料はコストが高いため、費用を抑えたりという場合には、シリコン塗料を塗ると良いでしょう。

シリコン塗料はALC外壁にもっとも使用されている塗料で、耐久性も高く耐候性や耐熱性も高く、コストパフォーマンスも高いというメリットがあります。フッ素塗料の場合、150万円というのが相場となっているのに対し、シリコン塗料なら120万円に抑えることができます。

 

ALCパネルはサイディングと比較すると厚みがあり耐火性や耐震性、遮音性において効果を発揮すると言われています。ただ半永久的に工事が不要というのは誤解で、塗り替えなどの適切なメンテナンスを行うことで張り替えが不要と推定されていますからなにもメンテナンスを行わなくても良いということではありません。ALCパネルが雨漏りする原因のほとんどは、シーリング切れによるものといえます。ALCパネルに防水処理をきちんと施していたとしても、つなぎ目部分が劣化してしまうとそこから雨水が内部に浸透してしまいます。ALC外壁は60センチ×2.7メートルの板がメインで、サイディングなどと比べるとつなぎ目を埋めている長さが多いのが特徴となっています。また目地も深いためシーリングの材料が多いというのも特徴となっています。これを交換するためには外壁塗装と同じくらいの予算をかける必要があります。

メンテナンス費用を抑えるために、シーリングを交換せずに現在あるシーリングの上から重ねる打ち増し工事を行う場合もありますが、こういったメンテナンスは新しいシーリングが薄くしかつきませんしすぐに劣化してしまい3年ほどでまた雨漏りしてしまう場合がありますから、シーリングを交換することをおすすめします。

 

ALCパネルは築年数が経過するとどうしても劣化してしまい雨漏りが起こる構造といえます。そのため雨をきちんとシャットアウトできるように10年を目安にメンテナンスを行うことを心がける必要があります。雨漏りは自然に直ることはありませんから、早めに対策をとることが大切です。