ALCパネルというのは、珪石や生石灰、セメント、石膏、アルミニウム粉末などを凝固させ、高圧蒸気養生された外壁材で、1920年にスウェーデンから開発されて以来、世界的に発展してきた建材です。
原料となるセメントや生石灰は水と反応してアルカリ成分が発生します。これがアルミ成分と化学反応を起こして水素ガスを発生させ、内部に無数の気泡を形成させます。
ALCパネルは耐火性や強度、防火性など建築物に求められる性能を高いレベルで満たしていますから、外壁材として使用されることはもちろんのこと、床下地や屋根裏の下地などにも使用されています。ALCパネルは軽量気泡コンクリートで、工場で生産されたパネルを現地で取り付けていきますから、施工時間を短縮できるという特徴があります。サイディングと同じだと思われるかもしれませんが、サイディングはセメント質と繊維質を原料とする外壁材で厚みも異なります。
ALCパネルのメリットは、軽量気泡コンクリートという名前の通り内部は気泡があいていますから通常のコンクリートと比べると軽く、4分の1程度の重さとなっています。内部に気泡があるため夏は涼しく冬でも一定の温度を保つことができますから、断熱効果にも優れている建材といえます。
また通常のコンクリートよりも軽量ですから、施工がしやすく工事の期間んを短縮できるというメリットもあります。そのほかにも、火に強く音の出入りを気泡が防いでくれるため遮音性にも優れているという特徴もあります。
ALCパネルは一見すると軽石のようでコンクリートとは思えないほど軽い建材となっています。厚さは75ミリ以上あるものと、50ミリ以下の薄形パネルの2種類があります。施工の際はパネルとパネルを縦横に繋ぎ合わせていき1つの壁にしていきます。継ぎ手の部分は雨水の浸入を防ぐためシーリング材を充填してきます。
ALCパネルは直線的なボードを繋ぎ合わせていき、外壁と作り出していきますから、モルタルなどのようなデザインに自由度はありませんが、断熱性にも優れていますし軽量ということから人気の外壁材となっています。ALCパネルを使用した外壁は、継ぎ手部分やサッシ、シーリング材の劣化、ひびわれ部分から雨水が浸入しやすくなります。特に継ぎ手部分やシーリング材の劣化によって雨漏りが起こることが多いので劣化が見られたら早期にメンテナンスを行うことが大切です。
再発のおそれがなさそうな小さなひびわれであれば、DIYでシーリングで補修することも可能ですが、自分でできる補修は基本的に表面のみの処理になります。
一方再発のおそれがあるようなひびわれや雨漏りの原因となっているようなひびわれであれば、個人で修理することは難しいので専門の業者にメンテナンスを依頼する必要があります。
一戸建て住宅の外壁のほとんどはサイディングやモルタルで、戸建て住宅の約8~9割を占めています。
ALCパネルはまだ広く普及していませんが、外壁自体に厚みがり石造りを思わせるようなシンプルな質感が特徴で、大手のハウスメーカーでも使用されています。
モルタルとは異なり工場生産のALCパネルを現場で張っていきますから、工期を短くすることができるというメリットがあります。
外観的にも頑丈な印象がありますし、フラットなデザインだけではなくタイルを模した凸凹なるデザインなどもあります。
ALCの内部の気泡は、水分が浸透しやすく水を含むともろくなってしまう性質がありますから、ひびわれや継ぎ手部分が劣化してしまうと構造へのダメージや雨漏りが起こる原因となってしまいますから、早期にメンテナンスを行う必要があります。
機能性に優れたALCパネルですが、よりその特性を活かして長持ちさせるためにはその特性を知っておく必要があります。
ALCパネルは横幅が305ミリ、610ミリとサイディング板よりも短くなっています。そのため外壁に使用する場合は継ぎ目がサイディングよりも1.5倍多くなってしまいます。
継ぎ目が多いとそれだけ漏水のリスクも高まってしまいますから、定期的に目地のメンテナンスを行う必要があります。
またサイディングで施工した場合は、外壁の内側に防水シートが張られていますから、外壁自体に多少のひびわれがあっても雨水がすぐに内部に浸透することはありません。
一方ALCパネルは基本的には透湿シートは使用しませんから、シーリングの劣化やひびわれが起こった場合雨漏りに直結してしまうというリスクもあります。
そのためALCパネルで施工した場合は、メンテナンスを定期的に行うということがもっとも重要なポイントとなります。
特にALCパネルで気をつけるポイントは、パネル自体には防水性はありませんから、塗装によって防水機能を持たせるということです。
外壁というのは日々劣化が進んでいますから、どんな外壁材をしても何年かに一度はメンテナンスが必要になります。定期的に塗装を行えば経年による劣化を最小限にとどめることができますから、ALCパネルのメリットを充分活かすことができます。